自分の全生命を女の愛というカードに賭けた男が、 このカードが殺された時、 がっくりとなって何事も手につかないほど放心してしまうようなら、 そんな人間は――男ではなく、ただのオスである。
人間がこの世に存在するのは、 金持ちになるためでなく、 幸福になるためである。
常に賢明な人間でありたいと思うなら、決して結婚はしてはならない。 結婚というものは、 ウナギをつかもうと思って、蛇の入っている袋に手を入れるようなものだ。 結婚するくらいなら、まだ痛風にでもかかったほうがマシだ。
私達は年齢を重ねるにつれて、 時間の価値をいっそう鋭く感じるようになる。 実際、時間以外のものはまるで大したものではないように映じてくる。 そしてこの点で、私達はいよいよ悲惨な人間になってくる。
生き物は全て孤独である。 そして人間は自らが孤独であることを最も良く知る者である。
人間は今だかつて結婚に満足したことがない。 たとえ結婚する当人同士が満足していても、他の人間が満足しないのである。
孤独は山になく、街にある。 一人の人間にあるのではなく、大勢の人間の”間”にある。
人間として最大の美徳は、上手に金をかき集めることである。 つまり、どんなことがあっても他人の厄介になるなということだ。
恋人のいる人間に友情を注ごうとすることは、 喉の乾いている人間にパンを与えようとするようなものだ。
友情とは名ばかりのものだ。 私はどんな人間も愛さない。兄弟すら愛さない。 兄のジョセフだけは少し愛している。 ただし、それも習慣上からである。
平らな道でもつまずくことがある。 人間の運命もそうしたものだ。 神以外に誰も真実を知るものはないのだから。
人間の自由を奪うものは、悪法よりも暴君よりも、実に社会の習慣である。
最高のものを求める人は、つねにわが道を行く。 人間は最高のものを決して共存しない。 幸福になろうとする人はまず孤独であれ。
人間は毅然として現実の運命に耐えていくべきだ。 そこには一切の真理が潜んでいる。
「貧困は恥ではない」というのは、すべての人間が口にしながら、 誰一人、心では納得していない諺である。
金のために結婚するものは悪い人間であり、 恋のために結婚するのは愚かな人間である。
生は全ての人間を水平化するが、 死は傑出した人をあらわにする。
金を持っている人間は、 貧乏人がそのはかない運命を訴えることを聞くのが大嫌いである。