つまらないことに熱情を感じてよく記憶していること、 これが女の一番の特徴である。 数年前の友達と交わした世間話の中に出てきたこまごましたくだらないことを その気になればいつでも正確に話せるのである。 しかもやりきれないことに、女はいつでもその気になるのである。
人生は苦痛であり恐怖である。だから人間は不幸なのだ。 だが今では人間は人生を愛している。それは苦痛と恐怖を愛するからだ
時間が過ぎ去って行くのではない。 われわれが過ぎ去っていくのだ。
時を短くするものはなにか――活動。
時を絶えがたくするものはなにか――怠惰。
恋の病を癒す薬はいくつもある。しかしそれに間違いなく効く薬というものはない。
ラブレターを書くには、 まず何を言おうとしているのか考えずに書きはじめること。 そして、何を書いたのかを知ろうとせずに書き終わらなければならない。
恋愛というものは常に一時の幻影で、必ず亡(ほろ)び、さめるものだ、 ということを知っている大人の心は不幸だ。
慣習とは反対の道を行け。そうすれば常に物事はうまくいく。
どこにも人を引きつける所を持たないことを自覚している人間は、 それについてくよくよとあせるより、 自然のままで一人で生きているほうが賢明である。