昨日まで人のことかと思いしがおれが死ぬのかそれはたまらん
人間は生きることが全部である。死ねば全てなくなる。
死を願望するものは惨めであるが、死を恐れるものはもっと惨めである。
死者にたいする最高の手向けは、悲しみではなく感謝だ。
我々はときおり、 悪夢から目覚めた瞬間に自らを祝福することがある。 我々はおそらく、死んだその瞬間をみずから祝福することであろう。
我々は命あるものを、 使い古したら捨ててしまう靴や身の回りの品のように扱うべきではない。
死んで誰一人泣いてくれるものもないくらいでは、 生きがいのないものだね。
我々が誕生を喜び、葬式を悲しむのは何故か? 我々がその当人でないからだ。
死は生の対極としてではなく、その一部として存在する。
人はいつ死ぬと思う?
心臓をピストルで打ち抜かれた時。違う!
不治の病に冒された時。違う!!
猛毒キノコスープを飲んだ時。違う!!!
人に・・・忘れられた時さ!!!!
死のうと思っていた。 今年の正月、よそから着物一反もらった。 お年玉としてである。着物の布地は麻であった。 鼠色の細かい縞目が織り込まれていた。これは夏に着る着物であろう。 夏まで生きていようと思った。
人間はまだ十分に幸福ではなかったからこそ死を恐れるのである。 最高の幸福に恵まれれば、すぐに死にたいと思う。
人はいつだって、いろいろなものにさよならを言わなければならない。