もしも人から、なぜ彼を愛したのかと問い詰められたら、 「それは彼が彼であったから、私が私であったから」と答える以外には、 何とも言いようがないように思う。
現代の女性は、あらゆることを理解する。 ただ、自分の亭主のことだけは理解しない。
男の人って、一度女を愛したとなると、そ の女のためならなんだってしてくださるでしょ。 たった一つ、してくださらないもの。それはいつまでも愛しつづけるってことよ。
立派に死ぬことは難しいことではない。 立派に生きることが難しいのだ。
女性が結婚するのには大きな理由がある。 男性が結婚する理由は一つもない。 群棲欲が彼らを結婚させるだけのことである。
結婚の幸福は、まったく運次第ですもの。 お互いに気心がわかっていても、 前もって似ていても、そんなことで幸せが増すというわけのものじゃないわ。
千年後にも人間は 「ああ、人生はなんというつまらないものだろう!」 と嘆きつづけるにちがいない。 そしてまた同時に、今とまったく同じように死を恐れ、死ぬことをいやがるにちがいない。
人生には二つの悲劇がある。 一つは心の願いが達せられないこと。 もう一つはそれが達せられること。
人は自分が幸福であることを知らないから不幸なのである。
女の性格がわかるのは恋が始まる時ではないわ。 恋が終わる時よ。
やり方は三つしかない。 正しいやり方。 間違ったやり方。 俺のやり方だ。
人生を楽しむ秘訣は普通にこだわらないこと。 普通と言われる人生を送る人間なんて、一人としていやしない。 いたらお目にかかりたいものだ。
恋する人のために食事の支度をしている女の姿ほど、胸打つものはない。
死の恐怖は、解決されない生の矛盾の意識にすぎない。
結婚生活――この寂しい海原を乗り越えて行く羅針盤はまだ発見されていない。
孤独でいかに暮らすかを知らない者は、 忙しい群集の中でいかに忙しく暮らすかも知らない。
他人のために暮らすのはもうたくさんだ。 せめてこのわずかな余生をみずからのために生きようではないか。
友情のための最大の努力は、 友人に我々の欠点を見せることではない。 彼に彼の欠点を悟らせることだ。
「お酒は?」「飲みません。現実から逃避する必要がないので……」 「私も現実には満足してますが、うまい酒は現実の一部ですよ」