貧困は、人生という海の砂州であり、冨は岩壁である。 幸福な人々は、その間をすり抜けて船を操っていく。
おかしいわよ、金持ちの人がお金でなんでも手に入ると思っているのは。 あたし、そんなもの少しも欲しくない。 好きな人とならどんな汚い部屋だってかまいやしない。 気が向かなかったら、豪邸に住めっていわれたってイヤだわ。 お金なんて……、そう、お金の上でダンスしてみせるわ、つばをひっかけてみせるわ。
もし他に方法がなければ乞食になってもいい。 しかも乞食になったらその日から、手に入ったお金は自分のためにも、 家族のためにも、無駄なことに絶対に浪費しないという徹底的な粘り強さ。 ――これさえあれば、人間は誰でも金持ちになれるものである。
財布は、その中に何か入っていなければボロきれと変わらない。
金持ち連中の軽蔑には容易に耐えられる。 だが一人の恵まれない人の視線は、私の心の底に深く突き刺さってくる。
貧乏人の写真が新聞に出るのは、犯罪を犯したときに限られる。
貧乏はハシカと同じだ。どうせかかるなら早いほうがいい。 貧乏な家に生まれたことを喜べ。
金の値打ちがわからないのだったら、 でかけていって誰かに借金を申し込んでみるがいい。
毎月少しずつお金を貯めていきなさい。 そうすれば年末にはびっくりすることでしょう。あまりの少なさに。
人生は海、金は船頭である。船頭がいなければ、うまく世渡りができない。
ああ、金、金! この金のためにどれほど多くの悲しいことがこの世に起こることであろうか!
「貧困は恥ではない」というのは、すべての人間が口にしながら、 誰一人、心では納得していない諺である。
富は海の水に似ている。それを飲めば飲むほど、のどが乾いてくる。
金を失うのは小さく、名誉を失うのは大きい。 しかし、勇気を失うことは全てを失う。
人は、愛もなく妻を持つように、幸福もなく財産を持つ。
金がないから何もできないという人間は、 金があってもなにも出来ない人間である。