お前の唇は苦い味がした。 あれは血の味だったろうか?……いや、ことによったらあれは恋の味かもしれない。 恋は苦い味がするというから。
恋愛の十分の九は愛する側にあって、 その十分の一が愛されている対象の側にある。
経験が役に立たないのは、特に恋愛の場合にはなはだしい。
真面目に恋をする男は、 恋人の前では困惑し、拙劣であり、愛嬌もろくに無いものである。
恋というものは、オーバーのように、 着たり脱いだりできるものじゃないんだ。
少しのきまじめさは恋愛においては結構だ。 しかしあまり真面目すぎては困る。それは重荷であり、快楽でなくなる。
男は清らかな美にひかれるものだ。 あなたの巻毛を乱雑にしておきたもうな。
恋は気がつかないうちにおとずれてくる。 われわれはただ、それが去っていくのをみるだけである。
古くなって値打ちが出るものを私は二つしか知らない。酒と恋する男である。
恋人として男と女で違う点は、女は一日中恋をしていられるが、 男は時々しかしていられないという点だ。
男がもっとも情を込めて愛している女は 必ずしも一番愛したいと思っている女ではない。
友情は永続的なものの感情を与え、恋愛は永遠的なものの感情を与える。 しかし、両者とも後に残るのものはエゴイズムだけである。
短い不在は恋を活気づけるが、長い不在は恋をほろぼす。